純金箔革の開発の大きな課題は、
①耐摩耗性 ②柔軟性 金が展延性が高い金属とはいえ、伸縮性があり油分を含む天然皮革に定着(強固に密着)させるには困難を極めました。 箱ものに「金箔」を貼るのでしたら、①の耐摩耗性の確保でよいため、従来どおり「漆」を触媒にするればよいのですが、 財布などの袋ものに使用する場合には、②の柔軟性も必要となります。 この課題をクリアするために、 まず金箔を貼る「専用皮革」の開発 革と金箔が強固に密着するには、皮の種類、部位、伸縮性、表面の仕上げなど全て見直すことが必要でした。 タンナー(皮から革を作る人)との綿密な打ち合わせを繰り返し純金箔革専用皮革を開発したのです。 次に着手したのが「専用のり」の開発 この「専用のり」は、京友禅に携わっていたことがある松村氏だからこそ開発できたと言えるでしょう。 既存の「のり」の組み合わせではなく、「のり」の成分から吟味して「専用のり」を作りあげたのです。 使用する金箔は「純金箔(純金)」を使用 純金箔革は使用金箔にもこだわりをもっています。 金箔といっても種類があり、「純金箔」「洋金箔(真鍮)」「着色金箔(純銀箔、アルミ箔に着色加工したもの)」などが総称で 金箔と呼ばれています。 純金箔革はの金箔は「純金箔」で、その中でも純度99.99%の限りなく24金に近い最上質の「純金箔」を使用しています。 |
素材(専用皮革、専用のり、純金箔)が揃っても純金箔革完成とは言えません。
革に金箔を貼る技術、環境(温度・湿度)、のりの状態・成分の微調整など、ここからも試行錯誤の連続でした。
開発当初は金箔を2重3重にし耐摩耗性を確保しようとしていましたが失敗でした。 今ではわずか一枚の金箔(0.1ミクロン:10000分の1ミリ)で3年の通常仕様に耐えるようにできました。 109×109mmの0.1ミクロンの極薄厚の金箔を一枚一枚丁寧に天然皮革に定着させているのが純金箔革なのです。 天然皮革に金箔を貼ったバッグや財布などは他にもありますが、 純金箔革は一般製品と耐久性がことなります。一般製品は1年程度でしわが寄ったり剥がれたりするものが多く、 「天然皮革+金箔」製品の耐摩耗性は低いというのが皮革業界、宝飾業界、お客様の共通認識です。 ところが純金箔革は3年間の通常仕様でも問題はなく、第三者機関のJIS基準検査「染色堅牢度(摩擦)試験」においても 4-5級(5級が最上級)の評価を得ています。ちなみに4-5級というのは車のシートに使用されているレベルです。 |